三重県の津市の西にある、あのう温泉。市がやっているのか分からないが、300円という異様な安さ。しかも天然の温泉。
そのためか、普段使いで地元の人が多く訪れる。
そして閉店1時間前のこの時間帯、帰り際にお客さんたちが店員さんにこう言う。
「おやすみなさい。」
なんて温かい挨拶だろう。
東京で暮らしていたら、「おやすみ」を言う相手は同居人等、極めて親密な間柄に限られると思う。家族じゃなくても泊まりがけの旅行をするくらいの仲の友人とか。最低でも電話で深夜まで語り合うくらいの。
聞き慣れていたけど、考えたら極めて使い所が特別な関係に限られている「おやすみ」が、地域社会で自然と使われている。お湯以外にそういう温かさを感じた温泉だった。
ちなみに刺青OKなようで、若い方が背中に大きい模様を入れていた。どこかで見たことがあり、しばらく「なんだっけこれ……」と考えて、ふと気づいた。ナスカの地上絵(コンドル)だ。
アパレルにおいても意外と見たことがない柄。それを身体に刻もうと考えるほどに、スピリチュアルなものを感じ取ったのだろう。
P.S.さらにちょっと考えると、英語の「Good night」と「おやすみ」にはだいぶ開きがある気がする。「Good night」は「Good morning」「Good evening」の延長線(あくまで挨拶の時間軸)上にある感じだけど、「おやすみ」には「おはよう」「こんにちは」とは違う、安らかな1日の終わりへの願いのようなものが込められている気がする。もちろん英語圏において「Good night」に込められているかもしれない情緒は知りようもないのですが。
つくづく素敵な言葉、「おやすみなさい。」