日々是暇

塞王の楯

去年末の新聞の書評欄に載っていて、面白そうだな~と思っていた、今村翔吾さんという方の作品。

面白そうだな~と思ったあらすじは、関ヶ原合戦の少し前、「塞王」と呼ばれた石垣積みの達人、源斎の弟子、匡介と、「砲仙」と呼ばれた鉄砲の達人、彦九郎。「攻めようと思えないくらいの最強の石垣」でもって平和な世を目指す匡介と、「誰も使わせたくないほどの恐怖の武器」でもって戦争を抑止しようとする
彦九郎、それぞれの「矛盾」する想いが、大津城で激突する……というもの。

まぁ~面白かった。500ページの歴史小説とは思えないほどのテンポであっという間に読了してしまった。まだお若い(37歳?)ということもあって、今風な書き方で読みやすい。

職人の工事や日常のシーンはほがらかに。そして上記の信念のぶつかり合いからの大津城の攻防戦はめちゃくちゃ面白かった。視点は双方を交互に行き来するわけですが、もうひと展開をそれぞれ最後に隠すことで、説明されていながらもスリリングな表現になっていた。

そして、この「矛盾」の争いは結局戦国時代では終わらず、現代にまで連綿と続く。原爆は例外級ではあるが、昨今は北朝鮮の極超音速ミサイルに対してレールガンを開発中とか……人が人である限り、何かを守ろうとする限り、そこにはより強い防御と武器が生まれてくるんだろうか……など、世界情勢と絡めて色々と思うところがあった。

とまぁ、あらすじ通りの胸熱な物語なのですが、一つだけ欲を言えば、彦九郎の方にもっとストーリーを割いた方が、大津城戦はもっと感動的なものになったんじゃないかな~とか。守る方が美談になりやすいのは分かりますが、もっと彦九郎のバックグラウンドが知れていれば、「どっちにも負けてほしくない」くらい感情移入できたかなと(概ね彦九郎の方が悪役に見えてしまった)。贅沢ですが…

ともあれ、新年一発目の読書としては大当たりでした。今年も20冊くらいを目標に読書していきたい。

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