日々是暇

名探偵のいけにえ

去年の話題作を正月休みで読了。

とある宗教のコミューンで発生する連続殺人を、名探偵の大塒とその助手のりり子で解く。どんでん返しにつぐどんでん返しで一気に畳みかける後半が見もの。

ただ、このどんでん返し、正確に言うとどんでん返しではない。宗教関係者から見る真実と、その外から見る真実に齟齬があり、その両方から推理をするというのが画期的。

謎解きが何度も楽しめるのが嬉しいのと、昨今な色んな対立を考えさせられた。とある宗教問題もそうだし、政治の左右、ヴィーガン、ジェンダー……とる立場によって、世界はがらりと姿を変える。その立場からは、世界はそのようにしか見えない。真実は人の立場の数だけあり、現在はそれが入り乱れている。

個人的には、同じく文集ミステリランキング1位の「方舟」に面白さは及ばなかったと思うけど、ミステリ以上の奥行を味わえたから、これはこれで良かったかな。こういう読書を2023年、楽しんでいきたい。

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