日々是暇

価値観を広げる

この土曜日はたまたまアートに触れる休日となった。

最初の目的は「HERALBONY Art Prize 2025 Exhibition Presented by 東京建物|Brillia」だった。障碍者の創り出すアートの展示会。あまりそういうアートは観たことがなかったから、これを機会にと思っていた。

ただ、八王子からせっかく東京の東側まで行くのだから、もう一つくらい何かイベントを作りたい―――そんな風にGoogleMapをポチポチしていたら、静嘉堂文庫美術館で所蔵されている「曜変天目」が期間限定で公開されているらしい。

これは観てみたい、と、一日に2つの展覧会を回ることになったのでした。

黒の奇跡・曜変天目の秘密

岩崎家に伝わる文化財の一辺に国宝の曜変天目で構成されている。

「曜変天目(稲葉天目)」欠損なく存在するのは3客のみ。その全てが日本にあり、国宝。

まだらな斑点(泡?)と、見る角度によって変わる色。「宇宙」の比喩はぴったりだけど、個人的には「細胞」にも見え、そこはかとないグロテスクさも感じられた。どちらにしても見ていると吸い込まれそうになる感覚だ。

そういうちょっとした不気味さがあったので、個人的には「油滴天目」の方が純粋に「美しいな」と思えた。こちらも曜変の次に貴重なので重要文化財なわけですが。

日本の文化財を堪能した後、皇居沿いに500m程北上する。

HERALBONY Art Prize 2025 Exhibition

オープニングトークとアートクルーズに間に合った。作品にまつわる各作家の貴重なお話をうかがえた。

とは言え、特に作品の解説をもらわずとも、各作品からはエネルギーが溢れ出していて、普通に現代アートとして楽しい鑑賞だった。

現代アートにおいては健常者と障碍者の垣根は無いかもしれない。みなぎる感性を形に変えることにおいて、どちらも同じ土俵の上の「表現者」なのだから。(むしろ障碍者の方が特化された感性を持たれている可能性もある)

その時代の目が見たことのないものを作った人。それをきれいだと思えた人。どちらも謎の偉人である。

横浜美術館館長 蔵屋 美香(2024.11.27 日経新聞)

上記は日経新聞の美術コラム欄でまさに「曜変天目」をとりあげた際に蔵屋さんがおっしゃられていたこと。

障碍者アーティストも「時代の目が見たことのないものを作り出す人」であろう。僕たちが普通に見ているのとは違う世界を感じられているのだから。

そして、次に「それをきれいだと思えた人」―――この展覧会に関してはヘラルボニーさんにあたるのでしょうが、彼らもまた素晴らしい仲介・媒介者なのだなと。

恥ずかしながら、僕の価値観は思春期からこの方、権威性にたよっていたところがある。「すごく売れているから」「とっても希少だから」「あの編集長が言うのなら」等々―――

ただ、元は借りてきたとってつけたような価値観も、継ぎ足し継ぎ足ししているうちに、少しずつ自分の中で沈着してきている。嘘は徐々に漉されて消えて、本音の「いいね」が形を成してきている。

多分、僕は一番最初の「きれいだと思えた人」にはなれないだろう。それにはもう一つ上の感受性とアンテナが必要だと思うから。

でも、その次の次くらいで、それを「僕もそう思う」と言える人にはなれると思うし、なりたいと思う。

自分なりに開き、開かれた価値観で、この世界を味わっていきたい。

メニュー

閉じる