知らない本(知識)にどう出会うか。
このテーマにあたって、僕の答えの一つが「小さな本屋を訪れる」だった。
かもめブックスのような、全ジャンルを網羅していて、かつワンフロアでコンパクトに選書されている書店であれば、一目で「知らないジャンル」「知らない一冊」を網羅することが可能でだ。僕はそういう独立系書店に行くことで自分の知らない世界に接していた。
なので、ここ2年くらいは「本に出会うなら小さい本屋」「欲しい本を確実に手に入れるなら大型書店」と使い分けていた―――つもりだった。
そう言うのも、結局その小型書店の中でさえ「自分の興味あるもの」という大きな枠からは足を踏み出せていないんじゃないかと思うからだ。ジャンルを跨ぐにあたっても、興味の範囲内から隣接するものに触れるくらいで、突拍子もない世界に突っ込むような読書はしてこなかった。
それが悪いとは思わない。だけど、思ったより世界は予想の範疇でしか広がっていかないなと、不満まではいかないが、感じていた。
そんな折、会社の後輩が新宿の紀伊国屋書店で洋書(アートブック)を購入していた。そんなに輸入されていないであろうマニアックな本の在庫があるとは、日本屈指の大型書店、さすがだな、と。
紀伊国屋書店は1~8階まであり、各階ごとにジャンルが分かれている。
以前はこのことが自分の世界を狭める要因だと思っていた。意識してフロアを移動しないと、興味の範囲外の本に出会えないと。
しかし今日思いついた。1~8階に対応したサイコロを作って「出た目の階で絶対に1冊購入する」というルールを作れば、半強制的に知らない世界に接せられるんじゃないかと。
そういうことを後輩に提案したら、
「ちょっとぬるいです」
と言われてしまった。「あの広い1階1階からなら、自分の好きな本を探すことは出来ますよ」と。なるほど…
「棚まで指定するべきです」
ハードだな…と思う反面「おもしろそう」が圧倒的だった。
「超大型書店のランダムに選ばれた棚から1冊を選ぶ」
すごく楽しそうなゲームじゃないか。
かくして、紀伊国屋の各フロアのエリア(A~Lのアルファベット)とそれに対応する棚番号の最大値をjsonに登録して「紀伊国屋ルーレット」を作成した。(最近の僕はこういったことにばかり生成AIを使っている)
例えばスタートボタンを押すと、「4階D-12」のようにランダムで棚が出力される。レイアウト変更に伴う棚の番号の変動はあるだろうけど、そう短期間で切り替わるものじゃないだろうから、存在しない棚に当たることはそうはない。
最大値をとるにあたって紀伊国屋書店を歩き回ったわけですが、「ここの本を読むのは厳しいな…」と思うところも無くはない。
縁が無いもので言うと「医療・理学」「コンピュータ」……苦手なもので言うと「ビジネス・自己啓発」……それでも、世に出ている以上はどこかで読まれているものであり、誰かの価値観を作り上げている大事な一つの世界なのだろう。
そう考えると大型書店・図書館は様々な世界を束ねる宇宙と言えるかもしれない。僕がやろうとしているのは現実の「異世界転生」なのだろう。
近々さっそく後輩立会いのもとでルーレットを回すつもりだ。そのとき、僕はどこの世界に転送されるのか……今からすごく楽しみだ。