日々是暇

泥流地帯

旭川のコーチャンフォーという大型書店で買った、三浦綾子さんの代表作。旭川で買ったというのが、大きな意味を持つ。

富良野で農業を営む一家の話。次男の耕作の視点をメインに進んでいく。

自然の中で生きる幸せ、ほのかな青春、街で生きる者との生活格差……大正の北海道の田舎暮らしの厳しさと楽しさが伝わってくる。

耕作は秀才でありながら、家族のために色々な夢を我慢しながら大きくなる。色んな悲しみがありながらも、それでも皆が「幸せ」と言えるところまで来たところで、十勝岳の噴火に端を発した泥流が全てを流していく。

主人公たちにつきまとい続ける不条理、小さな幸せさえ許さないかのような無慈悲な災害……真面目に実直に生きていても意味が無いのか、虚しさに苛まれそうな作品だけど、兄の拓一や祖父の市三郎など、三浦さんが優しさをたくした登場人物たちが、それでも自分にとっての幸せはまぎれもなく「幸せ」なんだと諭してくれる。どんな悲劇の前でも、前を向いて生きることの大切さと、人間にはそれが出来る強さが備わっていることを教えてくれる。

三浦綾子さんの小説を読むのは2度目で、「塩狩峠」を読んだのははるか昔。作者がクリスチャンなことも影響してか、苦しむ人と隣に寄り添うような、優しい文章だった。そういう意味で遠藤周作に似ているかもしれない。

上ホロ方面から望む十勝岳

P.S.今まで毎年のようにのほほんと登っていた十勝岳に、このような悲劇(フィクションではあるけど、噴火と泥流は史実に基づいてる)があったことを知り、災害を起こしうる大自然であることを再確認させられた。登山する心持にも影響しそうだ(もちろん良い意味で)。

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