新潟のRural Readingで中古で買った本。貫井徳郎さんの著。
栃木のとある場所に、派手で(幼児が書くくらい)下手な絵で壁一面塗りつくされた家々が並ぶ町があるらしい、と聞きつけたノンフィクションライターの鈴木が、それを描いた伊刈(いかり)という男の動機を探るべく、その過去を追うというもの。
ただ実際に鈴木の調査がどこまで達成されたかは分からず、物語のほとんどは第三者目線による伊刈の過去の振り返り。全5章。
いや~、久しぶりに読書で泣いたな……
つづられる伊刈の物語は結構ハード。僕だったら耐えられないような悲しさ、寂しさに耐えながら朴訥に生きる伊刈の姿は神々しい。
色んな人と、色んな悲しみとの関わりの中から、あの絵は生まれたんだな―――と、もう4章の段階で勝手に合点してしまっていたから、最後の5章の始まりは時間軸も唐突な、蛇足的なエピソードに思えてしまった。
が、途中で思いがけない文章が挟まって混乱する。
で、それを理解したとたん、涙腺が崩れた。辛すぎるし、優しすぎるよ……
決して悲劇の繰り返しでお涙頂戴という話ではない。悲しみの中に耐えて立った伊刈だからこそ掴む光もある。
だけどもちろん後味の良いお話ではない。こういう過去の当事者はもちろん、落ち込んだ状態で読むにはかなりキツいと思う。
暗闇の中にこそ光は明るい。厳しい過去にも、小さな明かりたちは確かにあった。涙の海の中に光(笑顔)を探すような読書だった。