日々是暇

滅びの前のシャングリラ

積読になっていた本。本屋大賞2021にノミネートされてからやっと読了。

唐突に訪れる世界の終わり。1ヶ月後に隕石が衝突して人類は絶滅する―――

日常において普通の幸せをつかめず、生きる意味を見失った3人(と同級生の女の子1人と歌手1人)が、世界の終末のなかで、それぞれが生きている意義や希望を見出す、絶望と希望(そして結局は絶望)の物語。

よくあるディストピアとはちょっと違う。幸せ(普通)を奪われるマイナスからのスタートではなく、そもそも「こんな世界なら滅べ」くらいに思っている、もともとマイナスベース、ゼロから物語が始まる。こんな絶望の中でも、それぞれが複雑に絡み合いながら、人生と向き合って前を向いていく……それがどこかリアルだった。

悲しいのは生きる熱が戻ってきたところで、1ヶ月もたずに消滅してしまうこと。1人の心の中をのぞくと希望が芽生えているのに、外に目を離すと世界は崩壊寸前。

絶望と希望を目まぐるしく往復する視点。ありそうで無かったんじゃないかな。

P.S.「直径10kmの巨大隕石」だったはずが、最後に「大小さまざまの隕石」「一つちゃうんかい」というあたり、「あれ、隕石爆破した?」という希望をもってしまったのは僕だけなのか……

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