日々是暇

ラマレラ~最後のクジラの民

本当に素晴らしい作品に出合えた。厳密にはドキュメンタリーなんだけど、「作品」と呼びたい。

インドネシアはレンバタ島にあるラマレラ村。ここでは古くからクジラを生活の軸とした文化が脈々と受け継がれており、今でも捕鯨が行われている。その生活を何年にもわたってスケッチした大作だ。

村人の中からジョン、ベン、イーカ、フランス……といった何人かに焦点をあて、「伝統」「先祖」と「グローバリゼーション」「資本主義」「自然保護」の間で揺れ動く人々の葛藤と変化が、まるで小説のように活き活きと描かれる。

どちらが間違いでもどちらが正解とも言い切れないこの板挟みで、徐々に変化を受け入れながらも、捕鯨は絶対に軸からは外さないし、それに伴う伝統もコアな部分は残していこうと努力する。日本が列強に脅かされてあっという間に捨てざるをえなかったものを、ラマレラの人たちは新しいものを吟味しながら引き継いでいこうとしている。その真摯な姿勢に心が打たれた。

もちろん著者はいちジャーナリストであるので、作中ではグローバリゼーションや、それが連れてきた自然保護活動の欺瞞にも触れられる。中でも画一文化(モノカルチャー)への警鐘が印象的で、「一つの文化が失われるということは、人間の一つの生き方の選択肢が失われるということ」との指摘には、はっとさせられるものがあった。

いつしかデザイナーの方が「日本もゆっくりと技術を取り入れることが出来ていれば、確固たるオリジナルの文化が残っていたのかもしれないのに」と言っていたことが思い出された。

一つの生き方が当たり前ではないこと、また単一の文化が決して独占的に正しい生き方ではないこと

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