快活な珍道中記でありました。浅田次郎の新作「流人道中記」。
姦通罪を犯しながら「痛いから嫌だ」とごねて松前に流刑となった青山玄蕃と、若くて真面目な石川乙次郎の、青森は三厩までの旅路。
青山が頭抜けた傑物であり、その処世術や思想に徐々に感化されていく乙次郎。この魂の交わりが、東北道を北上しながら深まっていく。
視点の切り替えも小気味よくて、乙次郎の旅中の視点、乙次郎の妻への手紙、その他旅中の登場人物たちからの視点、終盤から青山玄蕃の語りが入ってくる。どれもが決して流れを切るようなものになっていないのは、さすがベテラン歴史作家。
「礼」が廃れて人間が堕落して「法」が生まれたという玄蕃の考えに首肯。今日に必要な振り返りじゃないかな。
