ゴールデンウィークの天気にやきもきしている今日この頃。一冊の本を読み終えました。
それが「絶望名言」という。名言集にも関わらずなんとも後ろ向きなタイトル。
これが、本当に、身に沁みました。
「悩みなさそう」と言われることの多い僕ですが、悩みのない人間などいようか、僕だっていち人間としてしっかり悩んだり、ときには軽く絶望したりしている。
この本は二十代で病気になってしまった頭木さんと、脳梗塞を患ったことのあるNHKアナウンサーの川野さんとのラジオ対談をそのまま一冊にまとめたもの。頭木さんが一度人生の底を経験する中で読んできた文学から、「絶望」に関するワードにスポットライトを当てて、その名言について二人で話し合っていく。
僕たちは普段から軽く「絶望」という言葉を使うけど、絶望を考えに考えまくった絶望のプロである文学者から発される言葉は説得力が違う。
一番に取り上げられているカフカは、一番に取り上げたかったのが分かるくらい絶望しまくっていて、しかも不謹慎にも面白い。
「将来にむかって歩くことは、ぼくにはできません。将来にむかってつまずくこと、これはできます。いちばんうまくできるのは、倒れたままでいることです。」
フランツ・カフカ
なんか、どういう精神状態でこれを書くんだろうなと(しかも恋人へ)。まぁ、これはネタレベルでおかしいのですが。
「生きることは、たえずわき道にそれていくことだ。本当はどこに向かうはずだったのか、振り返ってみることさえ許されない。」
フランツ・カフカ
この辺りはなんとなく分かるというか。舵をきっているつもりでも、いつの間にかあらぬ方向へ流されてしまっていることは多々ある。
作家によって絶望へのスタンスが違うのも面白い。カフカや太宰はそのまま絶望に埋もれていたり、影があるから光があるというゲーテ、そのときを備えよと警告するシェイクスピア―――
中でも、現在の状態で読んだら、ゲーテの言葉が一番刺さった。例えばこう、
人間は昼と同じく、夜を必要としないだろうか。
ゲーテ
闇を知っているから光が明るいことが分かる。絶望を知っているから、日々の小さな幸せを味わうことが出来る。ネガティブから発されるポジティブが、まさに僕にぴったりな言葉だった。
一冊を通して、こういう言葉が一滴ずつ波紋を落としていく。
まぁ、自分がいくら落ち込んでいても、この人ほど暗く悩んでいないし——と、決して励まされもしないけど、ちょっと安心できる。そういう対談が繰り返されていくうちに、今の僕はポジティブになれた。まだまだ余力あるから、もう少し頑張ってみようかな、とか。
あと、これは余談ですが、本当にそのまま音声から抜いたのかというくらい、二人が話し上手で。合間合間にウィットな比喩を利かせていくのは、さすがプロだなと。今度ラジオで流れるときはじっくり拝聴したい。特番だから、難しいかもしれないけど……
付け加えて、こういう番組をやっているのに、二人とも決して絶望を「良し」とはしていないところが正直で気持ちが良い。誰が好き好んで絶望したいかっていう。
この本は現代社会を生きる上で、大事な心の処方箋だと思う。
ベースは後ろ向きな僕だから、少しのことでも声を大きくして笑おうとしているのかもしれない。